9月のNapaは収穫の季節。色づいた葡萄と青空と、最高に気持ちいいシーズンであります。
何回となく行っているNapaですが、いつも友人を連れて行く側で、有名ワイナリーをリサーチの上6軒くらいを1日ではしごするというツアーガイド状態になることが多いです。が、今回は通人のお供で、運転もしなくてよく、こんな楽なNapaははじめてかも。
Stagsleap Wine Cellers
1976年のパリ万博でワインのテイスティング大会があったときに、並み居る有名なフランスワインとカリフォルニアワインをブラインドで試したところ、赤ワイン部門1位がカリフォルニアのスタッグスリープワインセラーズのS.L.V.カベルネソーヴィニヨン1973、白ワイン部門がやはりカリフォルニアの、シャトー・モンテレーナのシャルドネ1973になってしまった、という有名な話があります。その赤ワインのメーカーであるワイナリーがここです。
こちらでは、リザーブ・テイスティング(30ドル)がオススメ、まず市場に出ないカルト的高級ワイン、こちらの最上級ラインであるCASK23をちょっといただける、、、ということだったんですが、私が行った日、CASK23は売り切れでテイスティングのメニューにもなし。残念。。。その代わり、1988のものというS.L.Vを飲ませてもらえたんですが、古いワインならではの複雑な味わい(はっきりいうと、あまり好みはでなかった)。でも、この日の一番の当たりは2004のシャルドネ。カリフォルニアシャルドネのバターっぽい香りの少ない、きりっとしたシャルドネでした。
ちなみに、このワイナリー、つい最近185Million(日本円で200億以上)でワシントン州のワイナリー経営者に売却されてます。ニュースはこちら。しかし、このバリュエーションとかどうやったんだろうね、オーナー・ワインメーカーのWarren氏も当面経営にかかわるらしいけど、彼が去ったら今のような品質のワインは作れないかも、というリスクは普通の業種に比べてかなり高いはずだ。と、ひとしきり職業病的に盛り上がる友人と私。最近、有名どころのワイナリーの売却、おおいのです。ファミリー経営だったワイナリーが「とりあえずエクジットしてしまうか」ということなのかもしれません(少しさみしい話だけど)。去年は、1本500ドルとかださないとかえない(つまり、カリフォルニアワインとしてはむちゃくちゃに高い)といわれている、カリフォルニアワインの最高峰カルトワイン、Screaming Eagleも30Millionとかで売られてました。高級ワイナリーなのに意外と安いのは、本数が出ないからでしょうね(年間500ケースしか売れないのだそうです)。ありえないくらいのお金持ちになったらカルトなワイナリーでも買って毎日酒と薔薇の日々をしたい、と、バカな夢でさらに盛り上がる友人と私。
前から気になってたんですが、Stags leap という名前で値段がずいぶん安い別のワインが出回っているのですが、これはまた別のワイナリー。Stagsleap DistrictというのはNapaのなかのある葡萄の育成に最も適した地域の名前で、そのあたりで作っているワインであることは確かのようですが。
写真は、とりそびれたので、えーと、こちらで!(Shinaさんの日記。いつもお世話にナリマス。)
Robert Biale
ジンファンデルのワイナリー。もともと個人経営で、マーケットに出るようになってからはまだ新しいワイナリーということですが、ここまでおいしいジンファンデルを飲んだのは久しぶり。ということで、ジンファンデルに注目している方々にオススメです。シリコンバレーのレストランでもたまに見かけるようになりました。
シリコンバレーにはその名もSiliconvalley Bankという地銀があり、地元のスタートアップなんかと幅広いお付き合いをしています。で、そこには「ワイナリー担当グループ」があるのだそうで、当然のようにワインに異常に詳しい人ばかりらしい。その中のお一人に大推薦された!ということできてみたもの。小さなカウンターですが、予約必要なワイナリーなのでこんなものでしょう。テイスティングは、まずは去年作って全部売切れてしまった、とおもってたら、3ケースだけ倉庫から出てきたという2006 Sauvignion Blanc "Pollo Bianco"(白チキン、これかなりおいしい), ジンファンデルは 2004Partyline, 2004 Blackchicken, 2003 Royal Panishment, 2004 Zappa....あとひとつ、何だったかなあ?
こちらのフラッグシップワインはBlackchickenという名前ですが、もともとは養鶏農家だったということで、ワイナリーを作った頃はそこら中に鶏があるいていたそう。というか、上記、ワインについている名前がいちいちユーモアが感じられて楽しいです。
で、ワイングラスを片手にテラスに座って美しいブドウ畑を見ながらくつろいでいると、テーブルで何事か始まった様子。どうも、このワイナリーのセールス担当者が、お得意さん筋を集めてこちらの秘蔵ワインのテイスティングでもしますか、という趣旨のちいさいパーティーで、オーナー・ワインメーカーであるRobert Biale氏もやってきて気さくに挨拶に回っています。で、Robert氏が全く関係ないわたしたちにも「どう?」とすすめてくれたので、すすめられるままに参加することに。。。
ここから先はもう、10数本のワインがあいたのでめちゃくちゃ(この写真よりずーっとたくさんです)。
2004、2003、2002、2001、1997、2996のBlackchicken
2003がエレガント、2002が端麗、2001が深みがあるね、なんて冷静に分析できていたのはここまでです。1997というのがこのあたりのワイナリーでは一番の当たり年だったそうで、10年の時を経て非常に深みのあるワインになっておりました。アンチエイジングなど自然に逆らったことはせずとも、このように麗しくエイジングを重ねたいものだ、と深くうなづきあう友人1と私、笑。
2001、1999のALDO
Aldoさんとは Robert氏のお父さんでこのワイナリーの創設者。その名前を冠したワインは市場にはほとんどでませんが最高の品質なのだそうで、Black Chickenよりも品質はうえなのだそう。つまり、隠れFlagchip.
2001"Grande"
これは注がれた瞬間、「あれ、ピノなんか作ってたの?」ときいちゃったんですが、見た目も味もピノ・ノワールにしか感じられない不思議なジンファンデルで、一部の畑でだけそういう葡萄がとれることがあるんだそうです。これはまたマニアックですが、ジンを飲み続けた口にはピノ風なさわやかさが心地よく、周りのお客さんと「変種のジン・ノワールと名づけようではないか」と盛り上がる。
その後は、「特別古いジンファンデルの木で作ったなんとか」とか「100ケースしか作っていない、シラー、プチシラー、メルロー」などなど、珍しいものもたくさんいただいたんですが、終わりの方はもう味なんかわかんないですね。純粋にテイスティングをするには、欲張らず、飲まないでSpit Potに捨てる方がいいよなー、としみじみ。
しかし、集まっているひとたちは、本来の招待客ではない私たちにも気さくにどんどん話しかけてくれて、楽しい時間でした。なんというか、このおおらかさというか、「その場にいた皆さんでたのしみましょ」的な緩い感じはたのしい。ワイナリーがまだ新しいこともあるかもしれませんが、こういう風に接してもらうと、こちらも微力ながら肩入れしたくなるというものです。
今日のワイン英語
"vertical tasting":垂直テイスティング、同じワインを年代順に飲み比べるというもの。
"beast":獣っぽい、ということで、癖の強い、スパイシーなワインのことなんかの表現らしい。
Etoile At Chandon
Chandon(日本でも有名なモエ・シャンドンのワイナリー)の中のレストランで早めの夕ご飯をいただく。ダイニングは優雅な雰囲気で、夕暮れていく庭をカーテンから透かしてみながらいただくのはかなり素敵な雰囲気。お食事は前菜でフォアグラとヘアルームトマトを分け、メインはちょっとお肉を食べきる自信がなくトリュフのリゾットにしたんですが、秋の味覚、とーってもおいしかったです♪予約の時にドレスコードがあったり、オンラインで予約しているのに電話の確認をさせられたりちょっと高飛車なかんじだったんですが、行ってみたらお店の対応も洗練されていて落ち着きました。
サンフランシスコでは毎年、サンフランシスコ・クロニクル主催でベスト・レストラン100選を決めるのですが、そのうちの10以上がこのNapaエリアにあります(Etoileもそのひとつ)。ベイエリアのミシュランの☆付レストランも、実はかなりNapaにそろっていたりします。サンフランシスコでグルメを極めるにはNapaを訪れないといけないんで、これからも頻繁に訪れたいと思う夜でした。
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