ライブドアの内幕執筆の会計士、公認会計士協会が戒告処分 というニュース。会計士協会のプレスリリースはこちら。
えぇーっ、そうなの。。。?と思ったんですけれども。
主な理由は、「信用失墜行為に値すると」いうところだったらしいんですが、どうなんでしょうね。私が著作を読んだ印象では、かなり正直ベースで書かれている印象を受けた一方、監査制度に対する悲観的な意見もみてとれます。そのこと自体をとがめだてするのは違和感がありますし、そんな意見は世の中にあふれていると思いますが、それを現役の会計士がかいちゃまずいよ、ってことだったんでしょうか。うーん。
あとプレスリリースでも触れられていた、「休みの日に会社のキャビネットを勝手にあけて資料を探す」というのはめちゃくちゃ違和感のある手続きではありました(まぁ、一般受けのしそうな刺激的な話をいれようということで書いちゃったんでしょうね)。会社が資料を提供してくれなくて十分な監査手続きができなかった場合は監査範囲が限定されていることで意見を差し控えるというのが原則です(もちろん、意見差し控えには非常に重い意味があるので簡単にできることではありませんが)。で、こっそり盗み見たような資料は監査証拠にはできませんし、アメリカだったらそこで逆に訴訟沙汰になりかねない。少なくとも、普通、パートナーが係る行為ではありませんね。あと、提供してもらえなかったような資料まで見ながら監査契約をきらなかったというのもやっぱり、アメリカのかなり厳密にClient Retention Policyが運用されている中にいる私には違和感が大きいです。・・・もちろん、「絶対に不正をしている、暴かなくてはいけない」という責任感は痛いほどわかるんですが、社会に対して誤解を与える、という意味ではこれはちょっとまずかったかもしれません。
ちなみに、著者の田中さんは会計士資格を返上と「ライブドア監査人の告白~私はなぜ粉飾を止められなかったのか」(ダイヤモンド社)には書いてあったと記憶しているのですが(自分の読書感想エントリー参照)戒告されてらっしゃるということは会計士でいらっしゃったということですね。こう、現在合格者の数が増えている一方で、露出が多かったり、名前がうれていたり、社会に対して存在のある方がなかなかいない業界ですので、これだけ重い経験をされたかたが会計士でい続けてらっしゃることにはある意味ホッとしました。
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