5年間アメリカで仕事をした結果、私の英語は、「とりあえず普通に仕事をするのには問題がない」レベルになりましたが、それでも日本語を100としたら60くらいのレベル感だとおもいます。
トピックによって変わるので、会計まわりだったら80くらい。5年も仕事して8割って情けないけど、専門用語も税務法務関連になるとカバーしきれてないし、90とはいえない。。。この前も、連結納税ってふっと出てこなかったし(そのまんま、Consolidated Taxationでよかったんですけどね)。あまり興味のない専門的な話だと30くらいまでおちるかも。若い英語ネイティブたちの早口の会話はたぶん半分くらいしかわかんないし、何を口挟んでいいかもわからないことはいまだにあります。
話す相手との相性もあり、イギリス英語とかになると途端に「・・・・今何て言いましたか?」という状況に陥ります(それがショックだったため、最近はBBCをポッドキャストで聞いてます。。。)
日本で「英語がわかる日本人」として仕事をする分にはいいでしょうが、英語ネイティブ相手に、気の利いた発言をして注目を集める、相手によって言い方をかえる、という話術を駆使するには私の英語はまだまだまだまだ。
いったい、そこまで英語ができるようになるには、どうしたらいいんだろう?と考えたことがあるんですが、大人になってから英語を身につけた人間にとってはそれはもう、人生で一時期、「英語オタク」みたいになって、英語だけで生きる、というような強烈な経験が必要なんでしょう。
残念ながら、今の世の中便利すぎ、アメリカにいながらにして日本のニュースは日本語でとれますし、わたしもこうして日本語でブログを書いている時点で本当はだめなんだろうなあ。
そんなことをつらつら考えているとき、江島健太郎さんのエントリーをみてドキッとしました。彼は、渡米3年目に「英語に対して愛憎入り乱れた複雑な思いを抱くようになったのである」として、以下のように言ってらっしゃいます。
「そのようなことを一番実感するのは、パーティに招待されたときだ。とくに若くて頭のいい子たちが集まるスノッブなパーティはことさら苦痛だ。このあたりのアメリカ人は英語の不自由な外国人に慣れているから、真剣に話せばじっくり聞こうとしてはくれるのだけれど、自分たちが話すときには暗喩的なレトリックを多用しながらマシンガンのように言葉を発し、どんどん話題を切り替えていくから、聞いてるこっちは今何について言及しているのかよくわからなくなる。そうなると、気の利いたジョークのひとつでも挟もうにも、文脈がよく見えてないのでハズしてたらどうしよう、などとモタモタしているうちに口に出すタイミングを逃してしまう。そうやって、ああ、相手の心に刺さるようなことが言えていないな、自分の存在を認定してもらえてないな、というのがすぐにわかってしまう。ハイエクやアリストテレスの言ったことを引用しようにも、彼らの名前をどう発音するのかすらわからない。」
この江島さんの文章をよんで、ああ、痛い、痛いなあ、と思いました。
普段の仕事でいつも顔を合わせる人たちとのコンタクトはつらいことはなかったですが、パーティーやネットワーキングイベントなどで、自分が英語ネイティブたちの注意をひきつけられず、壁の花状態になるという状況は私は何度も経験してきました。
シリコンバレー界隈のパーティーであれば、起業家や面白い技術をもっているエンジニアであれば、ノンネイティブでも結構話題の中心になることができるんだしいいじゃない、と、彼のようなバックグラウンドの人をうらやましく思っていた経験が私にはありますが、それでも同じような思いをされていたのだな、とちょっと彼のブログを読んで驚いたり。(ちなみに、私の場合、「会計士です」「そうなんだ!税金はどうやったら安くなるの?」「・・・いや、私税務はやってないんです」「そうなんだ!・・・・(しーん)」という会話が続くのにうんざりして、CPAだといわなかった時期があるくらいです。)
それは英語だけの問題ではなく、自分プレゼンテーションという技術をもっている、もってないの問題でもありますが、自分が伝えたいことを100そのままつたえられたらぜんぜんちがうだろう、とは常々思うことでした。
そして、そもそも、読むのも書くのも、日本語でなら楽しいんですが、英語で読み書きするのは、できてもそんなに楽しくないんです。言い換えると「知識を得る」という面白さ以上の楽しさはない。書くのにあたっては、友人への短いメール以外のものは英語で心から楽しんで書くことはないと言っていいでしょう。」
海部美知さんもブログの中で、
「英語ブログに書くことは、それほどポンポンと湧き出してこない。頑張って書いても、たいして面白い比喩や警句がはいっているわけでもなく、中味で勝負の無味乾燥なものしか書けない。主に日本のことを書いているので、たくさんの人が興味を持つ話題でもない。」
上記のように書いてらっしゃいますが、まさにそのとおり。実は私も海部さんのところでちょっぴり書かせていただいている英語ブログがあるのですが。。。この前書いたのいつだったっけ???そして、あのブログ、彼女の知名度をしても、何人くらいに読まれているのだ?
しかし、結局、エネルギー配分の問題もありますし、楽しくないものを楽しくなるまで訓練するほどの時間とエネルギーを私はいま英語の読み書きに注げないし、しゃべりも同様で、今から家族との生活を投げうって英語だけの修行的生活をするかといったら。。。しないなあ。溜息。
なので、できる範囲で、「普遍語である英語」をブラッシュアップする活動はつづけつつ、より、自分のコンテンツを充実させていく、というのが結局自分にできること、という結論しかないのでした。
そもそも、今後ノンネイティブで英語を話す人がずっとネイティブより多くなるだろうという調査結果もあるそうで、ネイティブ相手に100%のコミュニケーションができないと悩むより、誰にでも、どこにでも通じるきちんとした英語をはなす、ということが大事、という考え方もあります。
日本に帰りましたが、当面、仕事で英語を日常的に使う環境は幸いにして?キープされることになりそうです。自分の役割が変わる中で、大事だと思っていることがいくつか。
1.常に、論理的で説得力がある調子でかき、話せること。
「英語は論理」、という本を昔読みました。この本は、「理屈っぽい日本語から英語に翻訳する」ということを前提に書かれており、英語があまりできなかったころから「英語で話すときは英語で考えて」いる私にはピンとこなかったんですが、「英語は論理」というタイトルは言い得て妙。
で、別に英語を書くために書かれた本ではないのですが、「考える技術・書く技術」を読んだとき、「これってまさに、英語でどうやって書き、しゃべればいいかのガイドじゃないか」と気づきました。著者は、マッキンゼーで非英語圏のオフィスに、英語でのレポートをコーチングを行っていた、というのを後で読み返して気がついて、なるほどね、と。
書くときは構成を考えながら書けますが、ぶっつけ本番のしゃべりのほうが、やっぱり論理は難しい。日本語と英語との相互関係が複雑なのは、日本語が「テーマや主語がはっきりしていなくても喋れる」そして「テーマと関係ない情報をいっぱいちりばめてしまう」ことばだからだと思います。どちらも、英語でやってしまうと、意味不明瞭になります。その辺に気づくまで、「私が言っていることは非常にわかりにくい」とアメリカ人の上司に何度も怒られました。。。今でもちょっとあわてたり、緊張したりすると、私の「英語の論理」は崩壊することがあるので、訓練を続けるしかないですね。
この応用編はいくつかあり、忙しいアメリカ人のプロフェッショナルと仕事をしているとき、メールなんてどうせ一番上しか読まれないので、理由はいいから結論と、自分がそのメールのアクションとして何をしてほしいか、を頭に持ってきて、デイテールはあとに、とか、いろいろあるわけです。
そして、「英語は論理」であるがゆえに、英語がすごく得意ではなくても、もともとが理詰めで話すタイプの人の英語は、発音如何をとわず理解されるのだな、と最近気づきました。ので、英語がなかなか得意にならない、と悩む人は、発音練習より、論理的に考える訓練をするのもいいのかもしれません。
2.1を達成するための小さな工夫は続けること
日本語でも実は自然にやっていることだと思うのですが、仕事英語ではいくつか、パターンを作って頭から引き出して使うようにしていました。英語をはなすことのほうに頭を使ってしまうと、当意即妙にいろいろ出てこなくなるので、「会議で急に振られたときに使うフレーズ」とか「だれも質問をし始めないときに自分が切り出すフレーズ」とか、「あまりに整理されない議論をまとめにかかるときのフレーズ」とか、そういうものは、パターンにしておくといいわけです。仕事上の自分のロールがかわってきたので、そのパターンをすこし広げていく必要がありそうです。
3.書くときは、Typoや言い間違いを絶対にチェックする。
これは、アメリカにいるときに感じたのですが、私たち日本人は、外国人が書き間違いをしたときに「まあ、仕方ないよね」と思う傾向がありますが、英語を基本語とするコミュニケーションをするとき、Typoや時制のミスは自分の知的レベルの印象をすごく悪くするので、絶対にない方がいいですね。ただでさえも完璧じゃない英語をかいているのだから。けっこう英語が上手な日本の人でも、そこの意識はちょっと足りない、とよく思うので、ちょっとしたポイントとして、メールのスペルチェックとかはかならずしましょう、と。
と、いうことで、高く険しい英語の道を歩き続ける日々は続く、のでありました。

>ネイティブ相手に100%のコミュニケーションができないと悩むより、誰にでも、どこにでも通じるきちんとした英語をはなす、ということが大事、という考え方もあります。
私はこの意見(↑)派であり、それらしいこともブログに書きました。
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2008/10/post-73.php
こちらではEnglish nativeは自分のクセのある英語をわかる英語にしようと、それぞれ工夫しています(ついこの前も「だいぶオーストラリアアクセントを直したんだよねー」というオージーに遭遇。 シンガポールに着いた5年前は全く理解してもらえなかったそう)。
私もパーティーやネットワーキングイベントは辛いです。 特に立食の場合、背が低いので、背が高い白人男性(女性でもそうだが)とグループで話すと自分の頭のはるか上空で何やら会話が行われる、という状況になり、物理的に聞こえなかったりする(笑)。
こういう時使う小ネタを常日頃からストックしておく努力が必要で、意外とEnglish nativeでもこういった努力はやってると思いますよ。 天然で話し上手な人は少なく、小さい頃からの経験による場慣れ&努力だと思います。
>わたしもこうして日本語でブログを書いている時点で本当はだめなんだろうなあ。
私も同じこと思いますが、英語ブログで出せるバリューがないですよねー?
英語ブログですごく読まれている日本人のブログがあれば読んでみたい!
投稿情報: la dolce vita | 2009/02/07 22:05
>こういう時使う小ネタを常日頃からストックしておく努力が必要で、意外とEnglish nativeでもこういった努力はやってると思いますよ
そうそう!それは本当にそうですよね。なので、そういうまめな努力は、面倒くさいとか本質的ではないとか言わずにきちんとやるべし、と思ってますです。
>英語ブログですごく読まれている日本人のブログ
ううん、Joi Itoさんとかかしら?
http://joi.ito.com/
「国際人」である彼を「日本人」と言うべかはなやましいですけどね。。[英語ネイティブで日本語は中級レベルとある]と本人はおっしゃっているらしいですし。
投稿情報: lat37n | 2009/02/07 22:24
とっても久しぶりにコメントします。
前回にコメントしたときの名前は忘れてしまいました。
監査法人を辞めて法科大学院に通っている者です。
ところで、英語。
僕の経験だけれども、英語聖書に親しんでおくといろいろと良いみたいです。
アメリカ体験記、いつもすっごく楽しみにしてます。
投稿情報: サムエル | 2009/02/08 04:16
Lat37N様
「ものすごく、レベルの高い悩み」に感心して読ませて頂きました。「英語がわかる日本人会計士」として食べていくには、LAT37Nさんは十分に競争優位を築いているわけですが、その先を目指している目線が高すぎて私はついていけません(笑)。
「考える技術、書く技術」に関する印象は、初めて読んだ時、私もまったく同じ印象をうけました。(これ、当時職場で渡されていた英文インストラクションと同じだ!と思ったものです。)私はこの「英語思考」を参考に、ドメスティックな顧客向けのレポートを同じ雰囲気にすることだけで、一時期、相当な差別化となりました。最近は、この裁定取引はさすがにきかなくなってきましたが・・・。
上は考え出すとキリがありませんね。目線は高く持ちつつも、私の場合、最近は、「個人最適化」より、「組織・チームの最適化」の方により興味を持つようになりました。(この分野も意外に職人会計士は弱い気がするんですよ。)単に個人能力面での限界を認識しただけかもしれませんが・・・。
お忙しいとは思いますが、Lat37Nさんの日本語ブログ、これで日本人には十分楽しいですから、続けてください。
投稿情報: cpainvestor | 2009/02/08 13:36
>サムエル さん
聖書ですか。。。「読んでおくといい」という理由で読むものではないような気がしますが(苦笑
>cpainvestorさん
いやー、どうなんでしょう?今度の職場で「なんだ、意外とみんな普通に英語しゃべるのね!」と、「事務所に英語でかかってきた電話に答えられず切ってしまう人」がいた職場に過去在籍していた私、ちょっとびっくりしてるんですが。私程度の英語じゃあんまり、差別化にならないです。。。
チームの最適化、という視点で、「英語社会に適応」できるようになるのは実は結構難しいですね。書評をかいた「日本語が亡びるとき」では、結局、エリート教育をして一部すばらしくできる人を作るしかない、という結論に至ってます。その人をどう組織に「囲い込んでおく」かは、非常に難しい問題ですが。
投稿情報: lat37n | 2009/02/08 14:26
遅ればせながら、お帰りなさい!ようやくキャッチアップしました!今後ともどうぞよろしくお願いします!
投稿情報: ももんが | 2009/02/18 17:18
>ももんがさん
先日はどうも!ようやくお目通りかないましたね。またご一緒んできるのを楽しみにしています。
投稿情報: lat37n | 2009/02/21 07:49